儚空--クライソラ--【完】
じゅんはそのとき、3歳。

うまく喋れない時期。
それなのに一語一句忘れずに覚えてる。


よっぽど辛かったんだね。

衝撃的だったんだね。

苦しかったね。

あれ…うまく物がみえない…。



「ゆめ、俺のせいで泣いてんじゃねーよ 」



じゅんはそう言って私を見つめてる。



そんなとき、仁くんが私の涙だらけの頬にハンカチを当てた。



「 俺、夢の涙を拭う約束したからな。」



人の気持ちをわかって泣けるということ




私にはまだ感情がある。



生きている。




空が見える。



儚空




泣いた後に見るこの空は何よりも美しい





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