儚空--クライソラ--【完】
この感覚…
何かが思い出せそう…
思い出して。
思い出さなきゃ…
仁くん…
あなたの顔をみれば、何か思いだせそうだ…
「仁! 」
振り絞って出す声に、私は違和感を覚える。
呼びすてにしちゃった…
でも、身体から自然にそう出た。
過去にもそう呼んでたのかな。
「なんだ、夢? 」
息を整えながら、笑顔で振り向く仁。
ドクンドクン…
振り向いたその顔を見て
私は、
私は、
全てを思い出した。