儚空--クライソラ--【完】
嘘。
きっと嘘。
私は小学校の体育大会の時からリレーがあると、いつもアンカーでバトンを豪快に振り回し一番に走った。
ゴールテープを切れる早さが
いつも自慢だった
「 元気な子ねぇ。 」と近所のおばさんにも言われた。
そんな元気は私が病気なんて…!
ねぇ、みかちゃん…なんで泣きそうな目をしてるの?冗談でしょ?笑ってよ。
ゴロゴロゴロ…。
雷鳴がとどろめく。
その音で、やっと…私は正気に戻る。
あくまで可能性。
「 大丈夫かい?
今、紹介状を書くよ。
私の勘違いだといいんだが。
明日の朝一で行っておいで。 」
佐藤先生が紹介状を受け取る。
大丈夫。
きっと勘違いだから!