儚空--クライソラ--【完】
南高校までは、一本道。


長い長い道のり。


下ると見えるコバルトブルーの海。



この景色はお気に入り。


途中で紫の自転車が私の通る道を
防ぐ。

今日もだ。


自転車は小さいときから乗ってきた。

私の大好きな乗り物。


風を感じられるんだ。

一瞬にして、景色が変わる。


車よりも、滑らかに。



「わーい!
やっぱ自転車は楽しいなあ 」


スピードがついて、一直線に進む。


しかし、紫の自転車が遮る。


私は急いで急ブレーキをかける。



ふぅ、危なかったぁ…。

事故にあったらどうすんのよ!



と心のどこかで叫ぶ本当の私。



紫の自転車の持ち主は私の前へやって来た。


「ゆめ。…はよ 」

彼は、私の彼氏。名前は赤坂 仁。


「じん。おはよう!」

いつも通り、笑顔で挨拶する


私と仁は中学生の時から付き合っているんだ。


仁は頭も良くて、運動神経も良くて、
日頃はクールだけど、たまにすごい可愛い仕草をしたりする。

いわゆる…ツンデレかな?



そんな、私の大好きな彼氏。


いつみてもかっこいい、自慢の彼氏。







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