儚空--クライソラ--【完】



顔が熱くなっていく。




「 仁…。」




スキ、スキだよ。







かっこよすぎだよ。


私は夕食を食べ終わると、鶴を折るのに精を出す。





夜8時…9時…10時。



たくさん出来上がっていく鶴。




けど、どこかに不安があった。







鶴、終わるかな?




終わらなかったら、どうしよう。





時間が過ぎる度に不安が強くなっていく








そして、少し寂しいんだ。






なんで、こんなに寂しいんだろ…





きっと、いちかがいないから。




いつもの夜は、いちかが私のベットに遊びに来て、一緒に勉強したり…。




どちらも、抗がん剤治療中で気分が悪いときは、こんなにも短い距離なのにLINEして、お互いを励ましあった。






いちかのいない病室…こんなに寂しいとは思わなかった。





いちか、早く良くなってね。
待ってるよ。




私は鶴を折る。

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