儚空--クライソラ--【完】
私は手紙を書いた。
やっぱりシャーペンを持つほどの力がない。
抗がん剤のせいか、更に筋肉は落ちた。
なら、筆で書こう。
筆なら、弱い力でも書くことができる。
棚から筆ペンを取り出すと、私の想いを全て書き記した。
書きたいのに、涙が邪魔する。
涙が落ちると、文字が滲んでしまう。
本当は泣きなくないよ。
でも、自然と涙が零れ落ちてしまうんだ。
読めない手紙でごめんね。
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