儚空--クライソラ--【完】
私はすぐに用意されたものを食べ終えた
じっと、先生の食べているの見る
「 そんなに見られると緊張するぜ」
先生はステーキを噛みながら言った。
「ねぇ…。先生の奥さんは
優奈ちゃんが死んでどうだった? 」
先生は俯くと答えてくれた。
「 最初は…、最初は気が狂ったように泣いてた 」
「じゃあ…。今は? 」
先生はステーキをついに食べ終えた。
店は相変わらず煩くて。
隣のおっさんなんかは昼間なのに
お酒を飲み漁ってた。
「鬱病になってたんだ。
少し前までは。
…今は元気だ。 」
「どうして? 」
「 長女に娘が産まれたんだ。」