儚空--クライソラ--【完】
先に沈黙を破ったのは先生だった。
「…悪い。掛ける言葉が見あたらねぇんだ。」
「 いいよ。
…クラスの皆にはまだ言わないで。
でも、仁にはあの手紙渡しといて。
先生…よろしくね。 」
「 おぅ。たまにはお見舞い行くよ 」
「 ありがと。じゃ。また会えるひまでさようなら…先生。」
あの日、私は決めた。
私はもう泣かない。
前を見る。
後ろは見ない───。
2年後、皆と共に卒業できるのを
楽しみに待つために。