儚空--クライソラ--【完】
「何だ? 仁。 」

鮫斑はすぐ後ろにいた。


「 何だ…じゃねーよ!
なんだよ、この手紙‼︎」

「 俺は知らん。ただ咲田に渡せって言われただけだ。」

「 ふざけんな…ふざけんなよ!
夢はどこだ?」


もう気が動転していた。

「 おい。お前なぁ…。教師にも守秘義務ってやつがあるんだ。簡単に言えねーよ。 」

俺は鮫斑の襟元をつかむ。

「 おい! 教えろよ! 」


まるで俺が俺じゃないようだった。
いつもの俺はこんなのしない。



だから、か。

ついに鮫斑もぶち切れた。


「 いい加減にしろやァァァ!
お前なんなん。なにがしたいんじゃ!
彼女にあって何するん? お前らしくないぞ、一回冷静になれぃ‼︎ 」


俺は鮫斑を強く睨みつける。



そして、冷静になる。






───俺は一体、何がしたいんだ?


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