儚空--クライソラ--【完】
日本の飛行場につくと、また飛行機で、私たちの暮らす、県に飛ぶ。


その県に向かうと、次はそこから私たちの家まで。

お母さんは日本に暮らしているときの車で運転した。


私が小1のころまでは日本にいたから、
7年前のだなぁ。


「 夢、零。もう寝ていいわよ。
長旅で疲れたでしょ?」

お母さんは私たちに微笑んだ。


「 うんありがとう。お母さん、零。
おやすみなさい。」


零も眠った。




寝た。






寝たつもりだったけど、寝られなかった。



疲れていると、なおさら。



だから、私は心の中で羊を数える。



one sheep...two sheep..



シクシク…



ん?

気づくと誰かが泣いていた。


車のミラー越しにお母さんの泣いている
姿が視界に入る。




お母さん…不安なのかな?


大きいお腹かかえて、
赤ちゃん産むのが。


そう考えると、
何にもしてあげられない自分に腹が立つ。





お母さん…。
私がお母さんを支えるよ。


困っている人を…見過ごせないから。

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