あおの空

「……って」

広ちゃんは全部わかってたんだ。
わかっててずっと黙ってたんだ。言ったら学校で泣いちゃう…そう思って。
それが広ちゃんの優しさだったんだね…。


「捺芽?」

「だって…笑ってなきゃ勝手に涙が出てくるんたもん」

言わないでおこうと思ってた言葉が勝手に出た。

「捺芽…?捺芽、辛かったよね?捺芽が一番辛いよね…」

あたしは首を振った。

「あたしが空青くんを死なせたの…」

「違う!!悪いのはあの居眠り運転してた人じゃない!!捺芽は悪くな…」
「でもっ!!」

広ちゃんの言葉を遮るように言った。

「あたしが横断歩道で止まったから…。そもそも一緒に帰らなかったら空青くんは……え…?」

広ちゃんは急にあたしを抱きしめた。


< 36 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop