熟女に魅せられて
居酒屋を出て、逃げるように最寄りの駅へと向かった。


その間、一言も言葉を交わさず、
ただ京子さんの手を引き歩いた。


京子さんの手の温もりと、俺の手の温もりで、手の平が汗ばんで行く。


それが恥ずかしくても俺は、京子さんの手を離せずにいた。



改札を抜け、駅のホームまで降りると、
祐樹は京子を椅子に座らせた。


「すいません、なんか・・・」


「ううん。 陽子さんに頼まれたんでしょ?」


「はい・・・」


「やっぱり。私が困ってるの、ばれてたんやね・・・」


京子は申し訳なさそうに俯いた。


「何かされたんですか?」


「うん・・・」


言葉を詰まらせる京子。


何や? 何をされたんや?


そんな京子の態度に俺は、おっさん達に少し苛立ちみたいなものを感じた。


< 135 / 291 >

この作品をシェア

pagetop