熟女に魅せられて
もう作業が始まるって時間に、剛彦は出勤して来た。


「おいっ剛彦、もう始まるぞ! 早くしろ!」


「えっ? ああ・・・」


心ここにあらず、剛彦はそんな魂が抜けたような表情をしている。


おまえ、何かあったな?


その表情からは、昨日、あれから美枝さんと何か合ったと察しがついた。


「こらっ剛彦、遅いぞ! 早く用意しなさい!」


すると、遅い俺たちにしびれを切らしたのか、芳美さんが休憩室に戻って来た。


芳美さん、今名前で剛彦のこと呼んだ?

いつの間に?


「は、はい!」


剛彦は慌てて用意をする。


名前で呼ばれて嬉しいはずなのに、剛彦の顔は浮かない顔をしている。

それとは反対に、少し照れた表情を見せる芳美さん。
俺は二人の表情の違いにどぎまぎしながら、芳美さんの笑顔に少し心が痛んだ。


俺は剛彦が昨日、何もなかったと祈るばかりだった。


< 142 / 291 >

この作品をシェア

pagetop