熟女に魅せられて
「阪井くん、頑張ってるね」


そんな剛彦を見て、京子がボソッとつぶやく。


「そうですね」


「いいなぁ・・・」


京子は羨ましそうに笑みをこぼした。


京子さん・・・


京子さんはきっと羨ましいんだ、剛彦のようにまっすぐに追い掛けられる相手がいることが。


俺が京子さんのそんな人になれたら・・・

って、俺は何言ってるんや?


京子さんに惹かれ、今は芳美さんがいいっと思ってたのに、やっぱり京子さんがええんか?
俺の方こそフラフラして、誰が好きなのか全然定まってない。

これじゃ、人のこと言えんよな・・・


『今の状況に惑わされてはダメ』


芳美さんの言うとおり、俺は誰かに寄り掛かりたくて、状況に呑まれているのかな?
芳美さんのこと好きやと思うのに。


『じゃあ、京子のことは?』


そう芳美さんに言われて、何も答えられなかった。
俺こそ、ちゃんと追いかけるべき相手を決めんとあかん。


< 194 / 291 >

この作品をシェア

pagetop