熟女に魅せられて
「じゃあ、やくそく」


女の子は剛彦に、右手の小指を差し出した。


「うん、約束」


剛彦は、その小さな小指に、そっと自分の小指を絡める。


「ゆびきりげんまんウソついたらはり千本のーます、ゆび切った♪ 約束だよ?」


「うん」


「ウフフ」


本当にうれしそうに笑う女の子は、鼻歌を歌いながらはしゃいでいる。


「阪井くん、なんかごめんね・・・」


「いえ、全然。なんか頼られるっていいですね」


剛彦は女の子のお願いされ、困るどころか、逆にうれしかった。
誰かに頼られる、男として自分もそういう年齢になってきたんだと実感できて。


そして芳美も少し、剛彦を見直していた。

女にだらしないことで、元旦那とダブらせて見てしまっていたが、
子供に対しての接し方は、元旦那とは違う。
目線を合わせ、やさしく接する姿に、剛彦の人間性を感じた。


< 199 / 291 >

この作品をシェア

pagetop