熟女に魅せられて
「中越くん、いい? 子供を育てるってことは、生半可な気持ちじゃできないんだからね?

ましてや自分の本当の子ではない、他人の子供。
そんな子供をどれだけ大切にできるか、どれだけ愛せるか。
そして、どれだけ自分を犠牲に出来るか。
あなたにはその覚悟がある?

逃げ出さずに彼女を、そして彼女の子供を守って行ける?
京子ちゃんと、子供の人生を背負って行くんだよ?
その覚悟が、今のあなたにはある?

乗り掛かった船は降りれないんだよ?
降りてしまったら、相手を今以上に苦しめることになるんだからね?」


なんだ? 陽子さんの言葉がずっしりと伸し掛かってくるようだ。


「そこのところを、もう一度よく考えてね?
今なら、受け入れられないって答えても、誰も文句は言わない。
私からすると逆に、そう答えた方が正常だとも思うよ。
だって、すごく大変なことなんだから。

それでも、それだけのリスクを背負ってでも、
相手と一緒にいたいというのなら、
それは本当に相手を愛しているんだと思う。
それなら私はもう、何も言わないよ。

もう一度、よく考えてみて。
それでも京子ちゃんと一緒になりたいって言うなら、私は全力で中越くんを応援する」


「はい、わかりました・・・」


「うん」


陽子さんは、それだけを厳しい表情で言うと、またいつものやさしい表情に戻って、ニコッと微笑んだ。



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