熟女に魅せられて
俺が階段を駆け上がり部屋の前に行くと、涼香ちゃんはしょんぼりとした様子で部屋から出て来た。


「まだ帰ってないの?」


涼香はコクリと頷いた。


京子さん、一体どこに行ってるんや?


すると涼香はまた階段を下りはじめた。


「涼香ちゃん? どこに行くん?」


祐樹も後を追い階段を下る。


涼香は一階に下りると、石垣にちょこんと腰かけた。


「どうしたん、涼香ちゃん? 家に入らへんの?」


「うん。ここで待ってる」


ここで待つって・・・


けど、しょんぼりと元気のない涼香を、
祐樹は止めることはできなかった。


「じゃあ、俺も」


祐樹はそう言って涼香の横に座った。


「帰らないの?」


「うん。俺も一緒に、お母さんを待つよ」


こんな小さな子を一人、こんなところに置いていけない。


祐樹の言葉がうれしかったのか、涼香は少し涙ぐんでいるようにも見えた。


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