夕焼け模様
「美味しいね」
彼は言うと一口大に切ったテリーヌを口に運ぶ。
少し寄り道をするつもりだったのに、気付けば私達はお昼を食べていた。
「…今日は、このまま帰らない?お弁当は家で食べたらいいよ」
テリーヌを食べ終えた彼が足下のバスケットを見て言う。私は頷くと、苺のタルトに手を付けた。
「甘い…」
苺の甘味が程好く口内に広がり、ブルーベリーやクランベリーの酸味も相俟って絶妙なバランスを保っている。
「さく、甘いの好きだよね」
私の様子を見ていた彼は、何処か懐かしそうに微笑んだ。