夕焼け模様
境界
食事を終えた私達はお会計をしようとレジに向かった。
「…如何でしたか?」
タルトを出してくれた男性は問うと、奥に入っていた少女を手招きする。
少女と男性は兄妹のようで、恋人という印象はあまり受けない。ふたりもそれを理解しているのか付かず離れずで並んだ。
「とても美味しかったです。…これならお金を払ってもいいって思うぐらい」
私は言うとバスケットの中から水筒を取り出す。少女と男性は首を傾げると顔を見合わせた。
「…素敵な物を食べさせて頂いたお礼です。ホットジンジャーレモンなんですよ」
はい、コップに注いで渡す。するとふたりは軽いお辞儀をして一口飲んだ。
「…美味しい…」
少女は言うと、幸せそうに笑んだ。