夕焼け模様
休息
「いらっしゃいませ、ホワイト・バーチへようこそ」
少女は滑らかな声音で言うと、テラスの方へ私達を案内した。
「本日のおすすめは『茸と筍のテリーヌ』です。…今、お冷やお持ちしますね」
それだけ言うと店内へ戻る少女。私は少女が置いて行ったメニューを眺める。
「素敵なお店だね、あの子はバイトかな?」
正面に座る彼は言うと、気持ちよさそうに背筋を伸ばす。
私は結婚してから仕事を辞めたけれど、彼は今でも会社で働いている。それが申し訳なくて職場に復帰しようと考えていたけれど、彼は一言こう告げた。
「…君には、ボクを癒すっていう大事な仕事があるでしょ?」
そう告げた時の彼の表情は、幼いあの日に見た顔よりも、ずっと大人びていた。