昨日の記憶がない
紙の一番下に書いてあったことを思い出しベッドから降りて机へ向かう。
一番上の引き出しを開けるとどこにでも売ってそうな大学ノートが一冊だけ入っていた。

"とりあえず学校に行く準備をしよう!
これを読むのはその後で。制服を着て鞄を持っててね。高校は西高校だよ。"

表紙を開くとそんなメモがど真ん中に貼ってあった。
これも記憶障害の自覚と同じで、 
「あ、私は西高校に通っているんだった。制服を着て鞄を持って行くんだった。」と若干は覚えているのだ。
………大変なのはここからだ。 

とりあえずはメモに書いてある通り学校へ行かなくては……。

「制服…鞄…」

部屋を見渡すとそれらは案外早く見つかる。
これは昨日の私が今日の私のためにしてくれた配慮だ。
壁にハンガーで吊られている制服を手にとって着替え鞄を持ち、家をあとにした。
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