北十字学園探偵部
子供のころよく遊んだ公園にたどり着いた。
公園は高台にあり、街がよく見通せる。
私は自動販売機でコーヒーを買って、長い長い階段を登っていった。

一歩歩くごとに体が重くなる。心に石ころがつまっているように、気持ちも重い。

視界が開けた。

街は朝もやに包まれ、眠りこけている。
公園のフェンスをくぐり抜け、アスファルトの壁の上に立った。
そこは私のお気に入りの場所。

高圧電線の真下で、わずかに草が生え、一人が座れるくらいの広さがある。

私は座った。
あさつゆが冷たかったけど、放っておいた。

住宅街の屋根の海の向こうにマンションが立っている。
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