北十字学園探偵部
「暗いね、この部屋」
「初めはそう思ったけど慣れちゃった」

茜は部屋を見回すと、私のとなりに座った。
ソファーがぐいっと下がった。
二人で映画でも見てるような体勢だ。


「探偵って、恋愛相談なんかも受けてくれるの?」

「まさか。私はカウンセラーじゃない」

「そうだよね……。ねえ、私どうしたらいい?」

「何を?」
私はとぼけた。百万分の一の確立でもいいから、予想が外れてほしかった。


「増田君のこと」

ズッキューン!

や、やられた!

バタッ。



「ほら、映美って増田君と仲いいじゃない?だから教えてほしいんだ」


「な、何を?」
もうやめて。

「ん〜、どんな人がタイプなのかとか。好きな食べものとか、休みの日は何やってるとか」


「自分で聞けばいいじゃない」
あたしもう限界だよ。


「聞けないからお願いしてるんじゃない」

「何、それって仕事の依頼ってこと?」

「素行調査は探偵の仕事でしょ?」

「ま、まあ……」
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