北十字学園探偵部
「おばちゃん、ラムネ一本もらうよー」

増田は私の隣に座った。

「なにしけた顔してんだよ。もうすぐ夏休みだぜ」

「うん、そうだね」
私は小さく答えた。

「何かあったのか?おじさんに話してごらん」

「うるさいな」
小声で。

「何?」

「もう、うるさいな!!」
私は立ち上がった。

「な、何だよいきなり」

「ご、ごめん」

「いいけどさ、いきなり怒るなよな」

「悪かった」

しばらく私たちは無言だった。


「なあ、ちょっと聞いていいか?」

「何?」

「今日帰りに校舎の前で倉間にあったんだよ。そんでさ、今度の日曜日映画に行こうって誘われたんだ。どうすればいいと思う?俺は正直あんまり行きたくないんだ」
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