北十字学園探偵部
男どもは釣りに出かけた。
どうやら釣った魚を夕飯に出してもらうようだった。


のぞみは窓際の椅子で本を読み出した。
ニーチェの本だ。

このゆる〜い雰囲気が私を夢にいざなった。ごろんと寝転がると、眠りに落ちた。温泉に入り、疲れがあふれ出たのだろう。


夢の中で私はうっそうとした森の中にたたずんでいた。高く伸びた杉が作る木漏れ日を浴び、森を進む。

途中別れ道が現れた。


片一方の道に優介、のぞみがいて、「早く来い」と叫んでいる。

別の道には増田が立っていた。


「増田!」


増田は歩き出した。

「どこへ行くんだ!」

増田はずんずんと歩く。
私は走ったが、どうしても追いつけなかった。


森は次第に暗くなり、私の影はすでにない。

やっと増田に追いついた。

増田は断崖絶壁に立っている。

「危ない!」


私は駆け寄った。

増田はバランスを崩した。

私は増田の服をつかんだが、止められなかった。

深い奈落に増田は落ちていった。

いつの間にか茜が隣にいた。

「映美、私を騙したんだね」

「違う、騙してなんかいない!」

「私を出し抜いて増田と付き合うつもりでしょ!」

「違うよ。私はそれを諦めたんだ」

「嘘つき」

「違うったら」

「バイバイ」

茜は飛び降りた。
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