北十字学園探偵部
「テニス好きなの?」

「ああ好きだね。でも時々もう辞めようって心底思うことがあるよ」

「どうして?」

「練習はしんどいし、いくら努力しても軽々と俺を他の選手が倒してゆくんだ。
これほど悔しいことはないね」

「でも辞めないんでしょ?」

「そうなんだ。体がテニスを欲しがるんだよね。何もしてないとムズムズしてきて、結局毎朝夜明けから練習をしてる自分がいるんだ」


「へえ。私はスポーツ苦手だから尊敬するな」

「いや、バカの一つ覚えってやつだよ」


そうしてしばらく話をし、私は部屋に戻った。

もうのぞみは起きていて、じいっと窓辺から外を見ていた。
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