北十字学園探偵部
私は布団にもぐると毎晩天井相手に考えた。

増田は私の中から消えることはなかった。締め付けられる思いだ。

私は何をやっているんだ?


茜は増田をもう諦めたのか?
どうして私を無視するのか?

増田がさっさと彼女でもつくれば、私もやっと増田を心から消せるのかもしれない。でも、嫌だ。と、どこかで自分がそういうのだった。

増田と付き合えば茜との友情は終わる。

私はもうどうしたらいいか分からなかった。

そんな思いを、雪見は黙って聞いてくれた。

「苦しいね。テニスでも俺は苦しんでばかりだ。上達は遅い、体は限界だと叫ぶ、毎日連中していると、ふと頭をよぎるんだ。お前は何でテニスを続けるんだって。

その答えはまだ出ていないけど、いつか分かる気がする。人が何かを愛するのはすごく簡単そうに見えて、きれいに見えるだろうけどさ。本当はそんなにかっこよくないんだよね。はいつくばって、息切れして、ヘトヘトになる。もうやめよう、と何度も思う。

でもやっぱり続けてしまう。
あ、俺何を話してるんだろうね」


と、こんな話もしてくれた。
誰かを好きなるって、確かに苦しい。
私はそのど真ん中だ。
雪見は私よりずっと大人なんだ。

私はこの苦しみに耐えられそうになかった。
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