北十字学園探偵部
私が茜と話したのは、ホームルームの時間だった。
その日は自習となっていて、生徒たちはガヤガヤと話していた。

茜は一人ベランダに出て外をながめていた。

私は茜がどうして自分を無視するようになったのか、いい加減聞きたかった。

前のように二人で喫茶店で長話をしたかったし、買い物にも行きたかった。

「茜、隣に行ってもいい?」

茜は返事をしなかった。

私は勝手に隣に行った。

「茜、何で怒ってるの?」


…………


「何とかいって」

いい終わる前に茜は口を開いた。

「あのさ、私知ってるんだよね」

「何を」

「とぼけないでよ。増田君とお祭り行ったでしょ?」

心臓にナイフを突きつけられているようだった。

「う、うん。行った」

「私もお祭り行ってたんだよね」

「え?」

「手をつないでる二人を見たわけ」

私は何もいえなかった。

「口じゃ私を応援するとかいってて、正反対のことしたよね?」

「ごめん。でも悪気があったんじゃないの」

「私一人バカみたいじゃん」

「違う、違うよ」

「何も違わない。あんたは私を裏切ったんだ」

「私、本当のこというね。私も増田が好きだったの。今も好き。茜が私に打ち明けた時、私すごく辛かったし、苦しかった。お願い、信じて。こんなことになるとは思わなかった」
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