北十字学園探偵部
牧野が部室を訪れたのは数日経ってからだった。


「バックヤードユニオンは解散、これで学校は元通りになるだろうか」
牧野は汗をぬぐった。

「いえ、まだです」
のぞみがいった。

「まだとは」

「教頭です」

「教頭がどうした?」

「教頭が全ての元凶なんです。バックヤードユニオンを作り、学校を荒らし、音笛未来にブラッククラウンを作らせ、わざと衝突させたんです」

「え?」

「学校が無秩序になった責任を学園長にとらせて、自分が学園長にとってかわろうと目論んだんですよ」
優介がゆっくり、はっきりとそういった。


「俺には信じられん」

「無理もないでしょう。こんなこと誰も信じない。教頭は慕われているし、野心家にはとても見えません」
のぞみがいった。

「それが本当ならば、学校は大変なことになる」

「総会はいつなんですか?」
私は聞いた。

「あさってだ」

「なら間に合いますね」
のぞみが静かに答えた。

「間に合う?」

「ええ、まだ間に合うといったんです。全てを明るみに出して下さい」

「俺にはとてもできない。第一証拠がない。いったところで誰が信じる?」

「先生、証拠ならあります」
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