北十字学園探偵部
季節が巡った。

私は増田の手を離さなかった。
増田も私を強く抱きとめた。


春が来た。


部室にはのぞみと優介、私がいて、片付けをしていた。


「これで俺たちの冒険も終わりだな」
優介がいった。

「ああ、長かったな」
のぞみがいった。
のぞみの指には銀色の指輪がはめられていた。

のぞみは松夫と再び結ばれた。
私はすごく嬉しかった。
のぞみは相変わらずクールだが女の子らしい表情も見せた。
クリスマスプレゼントを何を買ったらいいかなど、そっと私に聞いてきたりした。

そういう時ののぞみは可愛かった。


「さて、探偵部はこれからどうしたものか」
優介がいった。

「廃部にするか?」
のぞみがいった。

「いえ、廃部にはしません。私は続けます」

「そうか、続けるか。牧野も喜ぶだろう」
のぞみは私を見つめた。

「先輩たちとの一年、いろいろあったけど、すごく楽しかったな」

「そうか?」

「うん。二人とも私を忘れないで下さいね」

「もちろんだ、お前は俺の有能な後輩だ」

「結城先輩、俺じゃなくて私」

「そうだな。これからは私というか、何だか変な気持ちだ」

「土屋さんと幸せになって下さいね」

のぞみは顔を赤くした。

「もちろん、私はそのつもりだ」

「よかった」
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