北十字学園探偵部
部屋の片付けが終わった。
終わってしまった。
一分でも長引かせようとしたのに。

私たちは部屋を出た。


三人とも無言で校門まで歩いた。


「ここでお別れだ。俺についてきてくれて、俺は嬉しかったぜ」
優介はそういうと、夕焼けに目をやった。

西の空は紫色で、もう星が出ていた。
日が暮れてしまう。


「これからはお互い別々の道だな」
のぞみがいった。

私はその場に残った。
二人は左右別々の道を歩いてゆき、やがて視界から消えていった。


「竺丸せんぱーい!結城せんぱーい!ありがとーー!!私は二人を忘れませんからねーー!」

私の声が二人に聞こえたかは分からない。


「待たせたな」

増田は変わらず泥だらけのユニフォーム姿で現れた。

「汚いなーもう。早く着替えてきてよ」

私たちは一緒に帰った。
いつもの駄菓子屋に立ち寄った。

増田がノートを私に見せた。

「何これ」

開くと、大きく、




南雲映美が好きだ!



と書かれていた。


「バカ、何だよこれ」
「前に書いたんだ。お前にやる」

私はペンを取り出した。


その隣に、



私は増田が大好きだ!


と書いた。

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