北十字学園探偵部
放課後になり、私はのぞみと合流した。
春とはいえまだ風は冷たい。西陽が校舎をオレンジ色に染め、影は長く尾をひいていた。

「南雲、グラウンドを見てみろ」
「グラウンドですか?」
「そうだ、全体が見えるか?」
「いえ、半分くらいしか」

私は手を額にあてた。夕陽がまぶしかったからだ。

「ここからはどうだ?」
のぞみは銅像の横に立ち私も移動した。
「やっぱり全体は見えません」
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