北十字学園探偵部
音楽室は不気味だった。
壁にかけられたベートーベンの肖像画は、鋭い眼光で、私を目で追ってるようだった。
背中を向けると、すぐそばまでベートーベンが近づいてくるような気がした。

音楽室、講堂、視聴覚室を探したが見つからなかった。

もう、諦めたほうがいいのかな。

すると、足音が聞こえてきた。
男の声だ。

声が近づいてきた。
私はとっさに壁のくぼみに身を隠した。

「パクったバッグはどうした?」
「ああ、裏山に捨てたよ」
「金も入ってなかったし、しけてるな」

私はそっと覗いた。

未来と賢、真佐人だ。

「次はもっと金が入っていそうなカバン盗れよ」
未来が、真佐人にいった。

「そうだな。万札がつまってそうなやつをパクるわ」
真佐人が答えた。



こいつら……。

ガタ!

いけない、バケツに足があたった!
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