北十字学園探偵部
「そういうのは苦手だ」
「そうですか」
「お前もしかして」
私は妙にあわてた。

「ちょっとだけ、あの多分違うんですけど。先輩もそんな経験あるのかなって思って」

「一度だけあった」

部屋のくもった窓が風でカタとなった。
途端静かな時間が流れた。
まるで、二人きりで遠くの星に行き、「地球という星に行ったことありますか?」とでも私が聞いたようだった。


のぞみは目を細め遠くを見ていた。
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