まんまと罠に、ハマりまして
「警戒とかも。しません、よ?」


かなり途切れ途切れで。


「…触れられても」


私なりの頑張り。
課長の顔を見て、は、無理だけど。
これは、ホンネ。

その時、赤信号。
車が止まって。


「…調子にのるぞ?」


ボソッと。
課長が呟くように言った。


「え?」
「そんなこと言われたら、期待もするし。いいのか?」


そう言って、私を見た表情(カオ)が。


「───────」


あまりにも、柔らかく、優しくて。
しかも、かわいくもあって。


「名前でも、呼んでくれたしな」
「…え?」


一瞬、息が止まった。

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