まんまと罠に、ハマりまして
「寂しく、ないですか?」


思わず。


「え?」
「あ、すいません!」


口をついて、出てしまった。

怖がってはいるけど、課長を悪くいう人は誰もいないし。
嫌われてるわけじゃない。
私も確かに怖かったけど、嫌いではなかった。

だけど。
結束力の強い課の中、ひとり。
寂しくはないのかなって。

ほんとの。
ほんとは優しくて温かい、課長を知ってしまったから。

私が、


─寂しい


感じていたのかもしれない。
ほんとの課長を、みんなにも知ってほしいなって。
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