まんまと罠に、ハマりまして
「ありがとう」


そんな私に。


「俺は大丈夫だよ」


ふっと、課長が表情を和らげた。
そして。


「っ……!」


ポン、と、私の頭を撫でた。


「渡来だけが、知ってくれてれば。俺はそれでいいから」


…と。


「……は、い……」


運転しながらの、突然の不意打ち。
私の鼓動は、かなりの速度で音をたて始めて。


「あ、ごめん。また契約違反だな」
「え?あ、いえ、全然!」
「でも。あんまり可愛かったから」
「…え?」
「あまり。俺を煽るなよ」
「!」


課長の、その言葉で。
更に私の鼓動は、速度を増した。

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