まんまと罠に、ハマりまして
結局、この日も私は敬語でしか課長と話せずに終わって。


「今日は色々とごちそうさまでした」


夕食もごちそうになって、自宅前。


「いや。また遠出しよう。どこか考えといて。じゃあ」
「あ、はい。おやすみなさい」


お茶でも…と、部屋に誘うこともなく、いつものように課長の車を見送った。


「おやすみ、なさい…」


敬語を、後悔しながら…。

それでも。
私はこの日、少しだけ、課長と距離を縮められたような気がしていて。

知らなかった課長の一面を、見られたと思っていたから。


「敬語はまた、この次かなぁ…」


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