まんまと罠に、ハマりまして
課長はその時、どんな気持ちで私と圭くんを見ていたんだろう?


「じゃあ今日は翼が決めてみ」
「え?」
「どこがいい?」
「どこ?どこ…、うーん…」


課長に気づけなかった私には、もちろんそれを確かめる事なんか出来なくて。

ほんとに。
私は失敗してばかりだった。


「なんか、ホッとするな」
「え?」
「まんま、変わってなくて」
「まんまー?」
「まんま」


時間はもう戻せないし、戻らないし。
鈍さだけを、言い訳には出来ない。

多分、私がこの時すべきだったのは。
ひとりモヤモヤしてないで、課長の気持ちを確かめる事で。


「圭くんだって、まんまだけどね」
「ん?俺?」
「その感じ。全然変わってない」
「そっかぁ?」
「そうだよ」


そして同時に、そのモヤモヤの原因を突き止める事だったんだろう。



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