まんまと罠に、ハマりまして
「じゃあ、お疲れ。乾杯」
「乾杯」


圭くんが好きなんだと気づいたのが、1年の終わり頃。
でもその時、圭くんには彼女がいて。
つき合い始めたのは、2年の夏。
サークル合宿で、圭くんから告白された。


「転職したんだね」
「あー、うん」
「全然知らなかった」
「ほぼ誰にも言ってなかったからなぁ」
「そうなの?」
「ん」


課長の時もかなり驚いたけど。
あの時も、驚いたのを覚えてる。


「きっかけは、翼だったし」
「え?私?」
「ん」


驚き、プラス、歓喜!みたいな(笑)
まさかつき合えるなんて、思ってもみなかったから。


「みんなにLINEしまくってたろ」
「ん?」
「2年前。就職決まった時」
「あぁ、うん。もう嬉しすぎて」
「それが決め手」
「え?」
「俺も、やりたい事やろうって」
「え、証券会社は、違ったって事?」
「ん。違ってた」
「そう、なんだ…」
「なんか、ごめんな。あの頃ちゃんと話せなくて」
「ううん」

圭くんとつき合っていた2年半は、ただただ楽しかった。


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