まんまと罠に、ハマりまして
「今日はちゃんと。その話もしたくて。まさか打ち合わせで再会とか思ってもなかったけどな」
「ほんとだね」
「でも。連絡しようと思ってた矢先だったから良かったよ」


つき合ってた間、不安とか、悩みとかはなかったように思う。
今も不安はないけど。
悩みは尽きないから…。

油断してると、まだ『課長』って呼びそうになるし、敬語もやめられないし。
今も…。


「ってか。いつ広報に異動になったんだ?」
「私?」
「あんなに天職だって言い張ってたから」
「うん。私もびっくりって感じで」
「そうなんだ。まぁ、そうだよな。しかも本社だし」
「そうなの。異例の人事とか言われて」
「だろうなぁ。でも。見てる人は見てるって事なんだろうな」
「…え?」
「翼が頑張ってた証拠だな」
「っ…」


ドキッとした。


「そ、かな…」
「がんばり屋だからなぁ。翼は」


課長と同じ言葉…。
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