まんまと罠に、ハマりまして
あれからもう2年。
圭くんが未だに、その事を気にしていたなんて、ほんと、びっくり以外なくて。


「仕事が決まって、ある程度落ち着いたら。必ず会って、ちゃんと謝ろうって。ずっと決めてたんだ」
「そんな、ほんといいのに…」


でも。
圭くんらしいと言えば、圭くんらしいのかもしれないな、って。
ちょっと、相手を思いやりすぎる所があるから。


「大丈夫だったよ。傷つく別れじゃなかったし」
「ん。それは、計算してたから」
「…え?」
「いつ会っても、普通でいられるように。翼を傷つけないように。言葉もかなり選んだ」
「そう、なんだ…」
「気持ちが冷めて別れを選んだわけじゃないし、さっきも言ったけど。必ず翼と会うって決めてたから」
「う、ん…」


圭くんの言葉に、そうだったんだと納得しながら。
なんだろう。
この感じ。
デジャヴ的な感覚がふと、私を覆い始めて。
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