まんまと罠に、ハマりまして
「圭、くん…」


鼓動が波打つように、速度を増して。


「あの時も、ほんとは別れたくなかった。でも、夢を叶えた翼に触発されて。このままの俺じゃ、ダメだなって。俺も頑張んねーとって。翼を幸せには出来ないと思ったんだ」


あの時と同じまっすぐな視線に、目をそらせなくなる。


「だから、ちゃんと俺も夢叶えて、自信つけてから。翼に会おうって。ただ、それは俺のエゴだったから。あの時、翼に待ってて欲しいなんて、言えなくて…」


2年前。
圭くんのそんな気持ちに、私は全く気づかなかった。
そんなふうに考えてくれてたなんて…。


「しかも。会いに来るまで、2年もかかって…」
「圭くん…」


2年前。
別れを受け入れはしたけど、私の気持ちも冷めてたわけじゃない。
待っててと言われれば、私は圭くんを待っていたはず。


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