まんまと罠に、ハマりまして
「……みません」
「渡来…?」
「すみません…」


そんな課長を、まっすぐ見る事が出来なくて。
私は。


「失礼、します」
「っ…」


課長の手を、振り払ってしまった。


「……渡来…」


走ってたせいか。
幸い、そこはもう、駅の近くで。


「渡来…!」


課長の呼ぶ声が聞こえたけど。


「────」


私は振り向かずに、そのまま駅の階段をかけ降りた。

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