まんまと罠に、ハマりまして
いつも何かを決めていたのは私だったけど。
それを促してくれてたのは課長だった。
課長が、いつも私に選択肢を与えてくれてたからこそ。
順調に進んでるって思えてた。

うまく動けてる自分がいたのは。
全部、課長のおかげ…。
私が自分から動いた事なんて、


「…なかったんだ」


だったら。
今。
やっぱり私は、自分の部屋に戻るんじゃなく。
課長の所へ、


─行くべきなんじゃ…?


思えてきて。


「……………」


地下鉄の改札。
通ってしまった後。
次々と邪魔そうに、人がどんどん通り過ぎていく中。
私はケータイを取り出して、着信画面を開く。
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