まんまと罠に、ハマりまして
「────────」


一体、何の涙なんだろう。


「っ、ダメだ……」


もうお昼休み。
私はここから、一度出なきゃいけなくて。


「っ…」


何とか堪えて、少し溢れた涙を拭った時。


─コンコン…


ノック音がして。


「っ、はいっ!」


動揺からか。
反射的に、ムダに大きな声が出てしまう。
その声に、


「!」


自分でもちょっと驚いてしまって。
思わず両手で口をふさいでいると、ドアが開いて。


「え、どう、したの?」


入ってきたのは小杉さん。
そんな私を見て、明らかにドン引き、という感じで。


「えっと、いえ…。何でも……」
「…そう?」
「……はい」


ダメだ。
完全に、情緒不安定…。


< 201 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop