まんまと罠に、ハマりまして
それでも、優しい小杉さん。
それ以上は踏み込んでくる様子もなく、


「お昼だけど、食べられそうかなと思って」


いつも通り、普通に接してくれて。


「あ、はい」
「そう、良かった。あと、これ。スマホ、机に置きっぱなしだったでしょ?鳴ってたみたいだから」
「あ、すいません!」
「大丈夫。マナーモードなってたから。課長にもバレてないわよ」
「ありがとうございます」


私はスマホを受け取る。


「お昼行く?」
「あ、今日は…」
「お弁当?」
「はい」
「了解。じゃあ、私たち出るわね」
「はい。ありがとうございます」


そんな優しい小杉さんを見送って、とりあえず、もう一度席について。


─ふぅ~…


私は大きく深呼吸する。
どうやら、涙はバレずに済んだみたいだ。
そこは、ほんとに良かった、という感じ。
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