まんまと罠に、ハマりまして

大人の恋愛

圭くんといるのは、つき合い始める前から楽だった気がする。


「それってちょっと、複雑だな…」
「えっ？」
「…や。何でも。次なに飲む？」
「んー。何にしようかな」


もちろん、緊張はしてたけど。
安心できる、という感じだろうか。


「あの後、何か言われたりした？」
「ん？」
「や…。職場でメシ誘った上に、思い切り下の名前で呼んだからさ。久しぶりだからって、気、緩みすぎだって上司に言われて」
「あぁ。うん、全然。大丈夫だったよ」
「そっか。良かった。上條さんにも気を遣わせたよなって」
「っ、…うん」


課長といる時とは、違う感じ。


「次の打ち合わせの時に謝らなきゃな」
「……………」


課長は今日、どうしているんだろう。
ゆきのさんと、会っているのかもしれない…。