まんまと罠に、ハマりまして
「大丈夫です」
「…ほんとに?」
「え?」
「や…。大丈夫なら、良かったよ」


その"ほんとに?"の意味は、鈍い私でも、気づいていて。


「はい…」


泣きはらしただろう、目を見ての事だと…。
やっぱりこの短時間じゃ、メイクでカバーしきれなかったらしい。
頑張ったつもりだったけど。
課長の目は誤魔化せない。

そして。

ちゃんと、私を見てくれてるという証拠。
カバーしきれずに、バレてしまったけれど。
そこは、嬉しくもあって。


「ん?」
「何ですか?」
「なんか、笑ってる?」
「え?いえ?」
「そっか。俺の気のせいか」


ほんとに。
見てないようで、よく見てくれてる人。


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