まんまと罠に、ハマりまして
「もう話は終わっただろ。帰ってくれ」


そんなゆきのさんに、課長が突き放すような口調で伝える。


「終わった?何が?まだ終わってないでしょう?」


でも、やっぱりゆきのさんは微笑みを浮かべていて。


「このコにちゃんと分かってもらわないと」


私にチラッと視線を向ける。

この人は、


─誰だろう…?


思ってしまう。
私に課長への伝言を頼んだ時とは、まるで別人。
表情も、話し方も。
まるで違ってる。

でも。

きっと今のゆきのさんが、ほんと、なんだろう。


「分かってもらう?何をだ?」


課長は怪訝な顔のまま、そんなゆきのさんを見ていて。


「私達のことをよ」
「私達?」


課長の口調が、少しずつ荒っぽくなっていく。

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